专利摘要:
APIグループI規格を満たしていない低品質基油を、規定された流動点、粘度指数及びオキシデーターBNを備えた、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分と混合することと、規定された特性を改善したAPIグループI基油を単離することとを含む、APIグループI基油を製造する方法。(a)規定された飽和物、粘度指数及びオキシデーターBNを備えた、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を選択することと、(b)この低品質基油を、グループII基油及びフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油と混合することとから本質的になる、APIグループI基油を製造する方法。低品質基油の潤滑特性を改善する方法。さらに、基油プラントを運転する方法。
公开号:JP2011513580A
申请号:JP2010550786
申请日:2009-03-06
公开日:2011-04-28
发明作者:オブライエン、ジョン;クレイマー、デイビッド、シー.;ミラー、スティーブン、ジェイ;ローゼンバウム、ジョン、エム.;ロク、ブレント、ケイ.
申请人:シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド;
IPC主号:C10M101-02
专利说明:

[0001] 本発明は、APIグループI基油を製造する方法、低品質基油の潤滑特性を改善する方法及び基油プラントを運転する方法を対象とする。]
背景技術

[0002] APIグループI規格を満たしてさえもいない低品質基油を第2の基油と混合することによる、APIグループI基油を製造する方法の改善が求められている。混合して規格を満たすことができる低品質基油を製造し利用することを可能にすることによって、コスト面での有利さ及び性能面での有利さが得られると思われる。]
課題を解決するための手段

[0003] a.
i.90重量パーセント未満の飽和物レベル(saturates level)、及び
ii.80未満の粘度指数、−10℃超の流動点、及び15時間未満のオキシデーター(Oxidator)BNからなる群から選択される1種又は複数の準最適特性(suboptimal properties)
を有する、APIグループI規格を満たしていない低品質基油(lower quality base oil)を得ること、
b.低品質基油と、
i.−9℃未満のフィッシャー・トロプシュ流動点、
ii.次式:28×Ln(100℃での動粘度)+80により算出される量を超えるフィッシャー・トロプシュ粘度指数、及び
iii.20時間超のフィッシャー・トロプシュオキシデーターBN
を有する、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分(distillate fraction)とを混合すること、並びに
c.APIグループI基油を単離すること
を含み、
このAPIグループI基油が、95超の粘度指数、−7℃未満の流動点、及び9.5時間超のオキシデーターBNを有する、APIグループI基油を製造する方法が提供される。]
[0004] a.70重量パーセント未満の飽和物レベル、
b.70未満の粘度指数、及び
c.6時間未満のオキシデーターBN
を特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油の潤滑特性を改善する方法であって、
前記低品質基油と、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分とを混合することを含み、APIグループI基油が製造される上記方法が提供される。]
[0005] (a)70重量パーセント未満の飽和物レベル、70未満の粘度指数、及び6時間未満のオキシデーターBNを特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を選択すること、並びに(b)低品質基油を、グループII基油及びフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油と混合してAPIグループI基油を作製することから本質的になる、APIグループI基油を製造する方法が提供される。]
[0006] a.
i.70重量パーセント未満の飽和物レベル、
ii.70未満の粘度指数、及び
iii.6時間未満のオキシデーターBN
を特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を製造する精油所の運転条件を選択すること、並びに
b.低品質基油を第2の基油と混合してAPIグループI規格を満たしている混合基油を作製すること
を含む、基油プラントを運転する方法も提供される。]
図面の簡単な説明

[0007] 図1は、次式:2000×(動粘度)−2.7を示す、100℃での動粘度(mm2/s)とノアック揮発性(重量%)との関係を示すグラフである。] 図1
[0008] (発明の詳細な説明)
潤滑基油の規格は、APIインターチェンジガイドライン(Interchange Guidelines)(API公報1509)に規定されている。]
[0009] APIグループI基油は、専用の添加剤パッケージ及びこれらの基油で使用するために設計された個々の添加剤があり、混合することによってVI、硫黄分、又は飽和物レベルなどの1種又は複数の特性を改善することで、得られた混合基油を、各混合成分では到達不能な潤滑剤配合物において使用可能にすることができるので、ある種の完成潤滑剤配合物において望まれている。]
[0010] しかしながら、一般に、基油において最も所望される特性は、高い粘度指数、低い硫黄分、低い流動点、及び高い飽和物含量である。さらに所望される特性を達成するには、出費がかさんで、煩雑になる恐れがあり、製造するには甚大なエネルギー消費が必要になる。本発明者らは、APIグループI規格を満たしてさえもいない低品質基油を効率よく製造することができ、次いで第2の基油と混合してAPIグループI規格にできることを発見した。]
[0011] 低品質基油は、生物由来、石油由来、合成物、又はそれらの混合物であってよい。低品質基油は、飽和物含量が低いことになる。たとえば、低品質基油は、飽和物含量が90重量パーセント未満、70重量パーセント未満、60重量パーセント未満、又はさらには50重量パーセント未満とすることができる。飽和物は、約95重量%未満のレベルで、蛍光指示薬吸着法(fluorescence indicator adsorption:FIA)で測定される。炭化水素組成物中の飽和物、オレフィン及び芳香族の定量測定用に石油業界で使用される標準的方法は、「蛍光指示薬吸着法による液状石油製品中の炭化水素のタイプ(Hydrocarbon Types in Liquid Petroleum Products by Fluorescence Indicator Adsorption)」ASTM試験番号D1319−03(2006年6月に記事で更新)で述べられている。]
[0012] 低品質基油は、1種又は複数の他の準最適特性を有しており、これは、低い粘度指数、高い流動点及び低い酸化安定性を含むことができる。粘度指数(VI)は、油の動粘度に対する温度変化の影響を示している経験的な、無次元数である。低品質基油の粘度指数は、100未満又は90未満、たとえば70未満、60未満、又はさらには50未満であってよい。いくつかの実施形態では、粘度指数は、さらには0未満であってよい。粘度指数を測定するために用いる試験方法は、ASTMD2270−04である。低品質基油の流動点は、たとえば−15℃超、−10℃超、又は0℃超の要求よりも高いものとすることができる。流動点は、慎重に制御した条件下で基油の試料が流れ始める温度の測定値である。流動点を測定するために用いる1つの試験方法は、D5950−02(再承認2007)である。]
[0013] 低品質基油は、オキシデーターBNを測定することによって求められる酸化安定性が低いことがある。オキシデーターBNは、20時間未満、15時間未満、6時間未満、4時間未満、又はさらには2時間未満とすることができる。オキシデーターBN試験は、Stangelandらによって米国特許第3,852,207号に記載されている。オキシデーターBN試験は、ドーンテ(Dornte)型酸素吸収装置によって酸化に対する抵抗を測定する。R.W.Dornte、「ホワイト油の酸化(Oxidation of White Oils)」、Industrial and Engineering Chemistry、第28巻、26ページ、1936を参照されたい。標準的には条件は340°Fで1気圧の純酸素である。結果は、油100gが1000mlのO2を吸収する時間で記される。オキシデーターBN試験では、油100グラム当り触媒0.8mlが使用され、油には添加剤パッケージが含まれている。触媒は、灯油に可溶性の金属ナフテン酸塩の混合物である。可溶性金属ナフテン酸塩の混合物は、使用したクランクケース油の平均金属分析をシミュレートしている。触媒中の金属のレベルは次の通りである:銅=6,927ppm、鉄=4,083ppm、鉛=80,208ppm、マンガン=350ppm、スズ=3565ppm。添加剤パッケージは、油100グラム当り80ミリモルのビスポリプロピレンフェニルジチオリン酸亜鉛であるか、又は約1.1グラムのOLOA260である。オキシデーターBN試験は、シミュレートされた用途における潤滑基油の応答を測定する。酸素1リットルを吸収するのに要する高い値又は長い時間は、酸化安定性が良好であることを示す。]
[0014] OLOAはOronite Lubricating Oil Additive(登録商標)の頭字語であるが、これはChevron Oroniteの登録商標である。]
[0015] 低品質基油は、基油の特性に寄与する精油所の運転条件のもと、基油プラントで製造することができる。ろう分供給原料のために使用することができる最も一般的な精製方法は、溶剤脱ろうである。]
[0016] 溶剤脱ろうは、APIグループI基油の製造において使用することが多い方法である。溶剤脱ろうは、油からろうを分離するのを補助する脱ろう溶剤を使用する。使用される溶剤は、ろうがより高温で油から結晶となって析出するように、直ちに油と混合して溶液を形成するが、油−溶剤混合物中のろうの溶解度を減少させる作用がある。このことは、脱ろう油の流動点が、ろうの油に対する溶解度及び脱ろうが実施される温度の両方に依存するので、低流動点の油は、その工程で適度な程度に冷却するだけでさらに容易に製造できることを意味している。このように、ろうの溶解度が減少することは、低流動点油が、所与の運転温度で製造できることを意味するか、又は所与の流動点がより高い運転温度で得られることを意味している。通常、この目的のためにケトン類が用いられ、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、特にメチルイソブチルケトンがしばしば選択されることになる。]
[0017] ケトンは、単独で使用することができ、又はより好ましくは、油の溶解度を増加させても、ろうの溶解度を減少させるベンゼン、トルエン又は石油ナフサなどの芳香族溶剤とともに、使用することができる。使用する溶剤の量は、脱ろう生成物に要求される流動点、供給原料のろう含量(ろうの量及び型)、脱ろう油の粘度、システムの設計運転温度、及び、もしあれば、使用する自動冷却剤(autorefrigerant)の量などの他の因子に依存することになる。]
[0018] 溶剤脱ろうの一実施形態では、ろうが油から析出して、ろう様のスラリーを形成する冷却帯があり、そのように形成されたスラリーは、液状の層に注入されるプロピレン又は他の自動冷却剤などの液化ガスと段階的に接触して、ろうの濾過温度までさらに冷却される。自動冷却剤とは、本願明細書で使用する場合、液化ガスと同じ意味を持つ。自動冷却は、最も基本的な形態では、(a)冷却によってガスを凝縮すること、(b)液化ガスを分離して取り出すこと、及び(c)液化ガスを蒸発させて冷却することを含む3工程のプロセスである。溶解ガス(たとえば水素)などの液化ガスの範疇の他の化合物の存在、又は氷点を低下させるメタノールなどの追加物質の存在、又は凝縮流れから蒸発流れへ伝熱する中間流れの使用は、3つの基本工程(a)、(b)、(c)が存在しても自動冷却段階が存在するという基本的な事実を変えるものではない。それらの3つの工程は、2回以上(即ち2つ以上の段階)あってよい。自動冷却段階の特徴は、液化性酸性ガスの蒸発が起こる圧力でガスの凝縮が起こる温度領域にある。]
[0019] 溶剤脱ろうにおいて使用される溶剤の量は、適切な経験又は実験で測定することができるが、一般的な指針として、油供給原料の重量に基づいて0.5:1〜4:1(溶剤:油)である。精製費用が削減でき、安全性が、0.5:1〜2:1という低い溶剤:油比率によって改善される。低品質基油の流動点を高くすることができるので、溶剤の選択、及び溶剤:油比率の選択肢が広がっている。]
[0020] 過去の溶剤の選択は、硫黄選択性の少ない溶剤に制限されたか、又は油−溶剤混合物中のろうの溶解度の低い溶剤に制限されていた。分離された油中の硫黄分量が低レベルに保たれ、流動点が許容できるほど低くなるように、溶剤の選択には規制が必要であった。溶剤の選択の幅は、現在では拡大されており、低コスト、環境利益、省エネルギー化、又は安全性などの他の特徴について選択される。]
[0021] 硫黄溶解度の異なった溶剤を選択することができる。溶剤の硫黄溶解度を測定する1つの方法は、以下の方法によっている。10mgの硫黄粉末を、それぞれの溶剤に加えて、10分間撹拌する。硫黄粉末が完全に溶解する場合、10mgの硫黄粉末を追加して加え、この手順を繰り返し実施する。追加した硫黄粉末の一部が溶解しないときに、非溶解硫黄を濾紙を用いて濾過して回収し、濾過された硫黄の質量を測定する。溶剤の硫黄溶解度は、非溶解硫黄の質量から算出する。数例の試験した溶剤の硫黄溶解度を下の表1に示す。]
[0022] 表1に示すように、50mM以上の硫黄溶解度を有する溶剤には、たとえば、シクロヘキサン、キシレン、トリフルオロトルエン、トルエン、フルオロベンゼン及びベンゼンが挙げられよう。]
[0023] 第2の基油
低品質基油は、それよりも品質がずっと高い第2の基油と混合される。第2の基油の粘度指数は、非常に高くてよい。第2の基油の動粘度は、第2の基油と混合される低品質基油よりも低くてもよい。動粘度は、重力下における流体の流れ抵抗の測定値である。多数の基油、それらから製造した完成潤滑剤、及び機器の正しい操作は、使用する流体の適切な粘度に依存している。動粘度は、ASTMD445−06で測定される。]
[0024] いくつかの実施形態では、第2の基油は、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる。「フィッシャー・トロプシュ法によって得られる(Fischer−Tropsch derived)」という用語は、その物質が、フィッシャー・トロプシュ合成生成物を製造するフィッシャー・トロプシュ合成プロセスから生じるか、又はフィッシャー・トロプシュ合成プロセスのある段階で製造されることを意味する。フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、たとえば、市販のSASOL(登録商標)Slurry Phase Fischer−Tropsch technology、市販のSHELL(登録商標)Middle Distillate Synthesis(SMDS)Process、又は市販されていないEXXON(登録商標)Advanced Gas Conversion(AGC−21)processなどの周知の方法によって得ることができる。これらの方法及びその他の詳細は、たとえば、欧州特許出願公開第776959号、欧州特許出願公開第668342号;米国特許第4,943,672号、第5,059,299号、第5,733,839号、及び再発行特許第39073号;並びに米国特許出願公開第2005/0227866号、国際公開第9934917号、国際公開第9920720号及び国際公開第05107935号に記載されている。フィッシャー・トロプシュ合成生成物は通常、1〜100、又はさらには100を超える炭素原子を有する炭化水素を含み、一般的には、パラフィン、オレフィン及び酸素処理した生成物を含む。フィッシャー・トロプシュ法は、クリーンな代替炭化水素生成物を生成する実用的な方法である。]
[0025] フィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油は、たとえばUS20040256287、US20040256286、US20040159582、US701825、US20050139513、US7282134、US200600016724、US6700027、US6702937、US6605206、US20060289337、及びUS20060201851に記載されている。これらの基油を製造するのに使用される方法としては、水素化分解、水素化異性化、オリゴマー化、触媒及び/又は溶剤脱ろう、分離、減圧蒸留、並びに水素化仕上げが挙げられる。]
[0026] フィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油の粘度指数は、次式:28×Ln(100℃での動粘度)+80により算出される量を超えてもよい。いくつかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油の粘度指数は、次式:28×Ln(100℃での動粘度)+90により算出される量を超えることになるか、又は次式:28×Ln(100℃での動粘度)+95により算出される量を超えることになる。]
[0027] 第2の基油は、酸化安定性が良好である。いくつかの実施形態では、第2の基油のオキシデーターBNは15時間超、20時間超、25時間超、又は35時間超であってよい。第2の基油のオキシデーターBNは、通常は約75時間未満である。]
[0028] 第2の基油は、いくつかの異なった等級のうちの1つであってよい。減圧蒸留塔から回収される基油は、XXLN、XLN、LN、MN及びHNなどの基油等級の範囲を含むことができる。本開示で言及されるXXLN等級の基油とは、100℃での動粘度が約1.5mm2/s〜約2.3mm2/sである基油のことである。XLN等級の基油の100℃での動粘度は、約2.3mm2/s〜約3.5mm2/sである。LN等級の基油の100℃での動粘度は、約3.5mm2/s〜約5.5mm2/sである。MN等級の基油の100℃での動粘度は、約5.5mm2/s〜10mm2/sである。HN等級の基油の100℃での動粘度は、10mm2/sよりも高い。通常、HN等級の基油の100℃での動粘度は、約10.0mm2/s〜約30.0mm2/s、又は約15.0mm2/s〜約30.0mm2/sである。]
[0029] 水素化処理によって製造された基油は、プロセスへの供給原料中の重い分子の水素化分解のために、多量の低粘度生成物を生じる傾向がある。これらの油は非常に高品質でありうるが、XXLN、XLN、及びLN等級の基油がMN及びHN等級よりも高収率で製造される。一実施形態では、低品質基油はMN又はHN等級であり、第2の基油はXXLN、XLN、又はLN等級である。]
[0030] 一実施形態では、第2の基油は、90〜99重量%のパラフィン炭素及び2〜10重量%のナフテン炭素を有する、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分である。パラフィン炭素及びナフテン炭素は、n−d−M分析(ASTMD 3238−95(再承認2005))により測定される。]
[0031] 分子キャラクタリゼーションは、フィールドイオン化質量分光法(FIMS)を含めた当該分野では公知の方法により行うことができる。FIMSにおいて、基油はアルカン及び様々な数の不飽和(unsaturations)を持つ分子として特徴付けられる。様々な数の不飽和を持つ分子は、シクロパラフィン、オレフィン及び芳香族を含むことができる。芳香族が相当量存在すれば、4不飽和として同定されよう。オレフィンが相当量存在すれば、1不飽和として同定されよう。FIMS分析による1不飽和、2不飽和、3不飽和、4不飽和、5不飽和及び6不飽和の合計から、プロトンNMRによるオレフィンの重量%を引き、HPLC−UVによる芳香族の重量%を引いたものが、シクロパラフィン官能性を持つ分子の全重量%である。芳香族含量が測定されなかった場合は、芳香族含量を0.1重量%未満であると仮定して、シクロパラフィン官能性を持つ分子の全重量%の算出に含めなかった。シクロパラフィン官能性を持つ分子の全重量%は、モノシクロパラフィン官能性を持つ分子の重量%及びマルチシクロパラフィン官能性を持つ分子の重量%の合計である。]
[0032] シクロパラフィン官能性を持つ分子とは、単環又は縮合多環飽和炭化水素基である、又はそれを1個又は複数の置換基として含有する任意の分子を意味する。シクロパラフィン基は、1〜3などの1個又は複数の置換基によって、置換されていてもよい。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロペンタレン、(ペンタデカン−6−イル)シクロヘキサン、3,7,10−トリシクロヘキシルペンタデカン、デカヒドロ−1−(ペンタデカン−6−イル)ナフタレンなどを挙げることができる。]
[0033] モノシクロパラフィン官能性を持つ分子とは、3〜7個の環炭素を持つ単環飽和炭化水素基である任意の分子、又は3〜7個の環炭素を持つ単環飽和炭化水素基1個によって置換された任意の分子を意味する。シクロパラフィン基は、1〜3個など、1個又は複数の置換基によって、置換されていてもよい。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチル、(ペンタデカン−6−イル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。]
[0034] マルチシクロパラフィン官能性を持つ分子とは、2個以上の縮合環を持つ縮合多環飽和炭化水素環基である任意の分子、2個以上の縮合環を持つ縮合多環飽和炭化水素環基1個又は複数で置換された任意の分子、又は3〜7個の環炭素を持つ単環飽和炭化水素基2個以上で置換された任意の分子を意味する。縮合多環飽和炭化水素環基は、多くの場合2個の縮合環を持つ。シクロパラフィン基は、1〜3などの1個又は複数の置換基によって、置換されていてもよい。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロペンタレン、3,7,10−トリシクロヘキシルペンタデカン、デカヒドロ−1−(ペンタデカン−6−イル)ナフタレンなどを挙げることができる。]
[0035] 一実施形態では、第2の基油は、シクロパラフィン官能性を持つ全分子が10重量%超であり、マルチシクロパラフィン官能性を持つ分子に対するモノシクロパラフィン官能性を有する分子の比率が高い、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分である。シクロパラフィンの比率は、3超、5超、10超、15超又は20超であってよい。これらのタイプの基油を製造する方法は、US7282134及びUS20060289337において教示されている。その方法は、選択した条件下に形状選択性のある中間細孔触媒を使用して、フィッシャー・トロプシュろうを脱ろうすることを含む。]
[0036] 潤滑剤基油混合物
低品質基油を第2の基油と混合することにより、APIグループI基油を製造する。APIグループI基油は、全組成に基づいて、少なくとも10重量%などの少なくとも5重量%の低品質基油を含む。APIグループI基油は、90重量%未満の低品質基油を含む。APIグループI基油は、10〜50重量%又は20〜40重量%などの5〜80重量%の第2の基油を含む。]
[0037] APIグループI基油は、高い粘度指数、低い流動点及び優れた酸化安定性を含む優れた特性を有するものであってよい。さらに、APIグループI基油は、低いCCS粘度、又は低いノアック揮発性を有することができる。APIグループI基油の粘度指数は、100超又は105超などの95超であってよい。APIグループI基油の流動点は、−7℃未満、−10℃未満、−15℃未満、又はさらには−20℃未満などの−5℃未満であってよい。APIグループI基油のオキシデーターBNは、8時間超、たとえば9.5時間超、11時間超又は12時間超であってよい。]
[0038] 一実施形態では、APIグループI基油のCCS粘度は低い。APIグループI基油のCCS粘度は、−25℃で4,000cP未満のLN等級であってよい。APIグループI基油のCCS粘度は、−20℃で4,000cP未満のMN等級か、又はCCS粘度が−10℃で4,000cP未満のHN等級であってよい。CCS粘度は、低温及び高剪断応力下で油の粘性特性を測定するのに使用される試験である。CCS粘度が低いので、マルチグレイドエンジン油を含むいくつもの完成潤滑剤において油が非常に有用になっている。CCS粘度を決定する試験方法は、ASTMD5293−04である。結果はセンチポアズ、cPで記される。]
[0039] 一実施形態では、APIグループI基油は、現状のノアック揮発性を有する。ノアック揮発性は、通常ASTMD5800−05手順Bに従って試験される。動粘度が減少するにつれて、基油のノアック揮発性は一般に増加する。ノアック揮発性が低いほど、基油及び配合油が使用時に揮発しにくくなる。APIグループI基油のノアック揮発性は、次式:2000×(100℃での動粘度)−2.7から算出される量未満とすることができる。]
[0040] 完成潤滑剤
完成潤滑剤は、潤滑剤基油及び少なくとも1種の添加剤を含む。潤滑剤基油は、グループI基油であってよい。潤滑剤基油は、完成潤滑剤の最も重要な成分であり、一般に、完成潤滑剤の70%を超えて含まれる。完成潤滑剤は、たとえば、自動車、ディーゼルエンジン、車軸、変速機及び工業用途で使用することができる。完成潤滑剤は、関係する運営組織により規定された対象とする用途向けの規格を満たさなければならない。]
[0041] 完成潤滑剤組成物を提供するために潤滑剤基油混合物と混合できる添加剤は、完成潤滑剤の選択された特性を改善することを目的としたものを含む。典型的な添加剤としては、たとえば、流動点降下剤、耐摩耗性添加剤、極圧剤、洗浄剤、分散剤、抗酸化剤、粘度指数向上剤、粘度調整剤、摩擦緩和剤、抗乳化剤、消泡剤、腐食防止剤、防錆剤、シール膨潤剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑性向上剤、金属不活性化剤、ゲル化剤、粘着剤、殺菌剤、防かび剤、流体ロス添加剤(fluid−loss additives)、着色剤などが挙げられる。]
[0042] 一般に、完成潤滑剤中の添加剤の総量は、完成潤滑剤の約0.1〜約30重量パーセントである。しかしながら、本発明の潤滑基油が優れた酸化安定性、低い摩耗性、高い粘度指数、低い揮発性、良好な低温特性、良好な添加剤溶解性及び良好なエラストマー適合性を含む優れた特性を有するので、完成潤滑剤の規格を満たすために必要とされる添加剤の量が、他の方法によって製造される基油に通常必要な量よりも少なくてよい。完成潤滑剤を配合する際の添加剤の使用は、文献に十分に記されており、当業者に周知である。]
[0043] (例1)
APIグループIの規格を満たしていない基油の2種の試料は、表Iに示したような特性を有した。]
[0044] フィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油の3種の試料は、水素処理されたフィッシャー・トロプシュろうを水素化異性化し、次いで水素化仕上げ及び分留によって製造した。これら3種の試料は全て、蒸留留分であった。本開示において、「蒸留留分(distillate fraction)」又は「留出物(distillate)」という用語は、塔底から回収される残留高沸点留分を表す「ボトム(bottoms)」ではなく、常圧分留塔又は減圧蒸留塔から回収された側流液(side stream product)のことをいう。3種のフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油の特性を表IIにまとめて示す。]
[0045] 非常に高い飽和物は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によってより正確に測定した。試料をn−ヘキサンに溶解し、不溶物を全て濾過して除去し、乾燥して、秤量する。ろ液を、既知の体積にまで濃縮し、一部を定量的にHPLCに注入して、分離を示差屈折率(RI)検出器によって監視する。飽和物をn−ヘキサンによって溶出させて捕集する。n−ヘキサンの流れを入れ替えて、芳香族を溶出させて捕集する。RI検出器によって示されるように、芳香族が完全に溶出したときに、移動相を、アセトン及び塩化メチレンの1:1混合物に変更し、極性物質を溶出させて捕集する。溶剤を蒸発させて、画分を秤量し、元の試料中の重量パーセント分布を算出する。この画分は、さらなる分析(MS、GC、NMRなど)に用いることができる。]
[0046] これらのフィッシャー・トロプシュ基油のうちの3種全ての粘性指数が、式VI=28×Ln(100℃での動粘度)+Xにおいて、Xが90を超えるような非常に高いものであったことに留意されたい。LFTBO及びMFTBOの特に要求されるXの値は、それぞれ107超及び104超であった。]
[0047] (例2)
APIグループIの規格を満たしていない石油由来基油と、例1のフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油とを異なる比率で混合して、改善された特性を備えたLN、MN及びHN等級のAPIグループI基油を製造した。混合組成及び特性を表IIIにまとめて示す。]
[0048] これらの混合物の全てが、95超の粘度指数、−7℃未満の流動点及び9.5時間超のオキシデーターBNを有するAPIグループI基油であったことに留意されたい。3種の混合物のノアック揮発性は全て、次式:2000×(100℃での動粘度)−2.7から算出される量未満であった。この式のプロットを、図1に示す。LN等級「110N」の事例のCCS粘度は、−25℃で4,000cP未満と、特に低いものであった。MN等級「220N」の事例及び「230N」の事例のCCS粘度は、−20℃で4,000cP未満と、優れたものであった。そして、HN「575N」の事例のCCS粘度も、−10℃で4,000cP未満と、優れたものであった。これらは、バラエティーに富んだ完成潤滑剤混合用の優れた基油になると思われる。] 図1
[0049] これら3種の混合物の全ては、a)70重量パーセント未満の飽和物レベル、70未満の粘度指数及び6時間未満のオキシデーターBNを特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を選択することと、b)低品質基油を、グループII基油及びフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油と混合してAPIグループI基油を製造することとから本質的になる、又はそれからなる、APIグループI基油を製造する方法の例であった。]
[0050] (例3)
比較のため、APIグループIの規格を満たしていない石油由来基油の混合物と、通常の石油由来のシェブロンAPIグループII基油とを異なる比率で混合して、改良された特性を持ったLN、MN及びHN等級のAPIグループI基油を製造した。]
[0051] これらの比較混合物は、本発明のAPIグループI基油の高いVI及び高いオキシデーターBNを備えていなかった。]
[0052] 本出願に引用された刊行物、特許及び特許出願は全て、刊行物、特許出願又は特許それぞれの開示を具体的かつ個別にその全体を参照により組み込んだ場合と同程度に、本願明細書にその全体を参照により組み込むものとする。]
実施例

[0053] 上記に開示した本発明の代表的な実施形態の多くの改変は、当業者であれば容易に思い付くことであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲内に入る全ての構成及び方法を含むと解釈されるべきである。]
权利要求:

請求項1
a.i.90重量パーセント未満の飽和物レベル、及びii.80未満の粘度指数、−10℃超の流動点、及び15時間未満のオキシデーターBNからなる群から選択される1種又は複数の準最適特性を有する、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を得ること、b.前記低品質基油とi.−9℃未満のフィッシャー・トロプシュ流動点、ii.次式:28×Ln(100℃での動粘度)+80により算出される量を超えるフィッシャー・トロプシュ粘度指数、及びiii.20時間超のフィッシャー・トロプシュオキシデーターBNを有する、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分とを混合すること、並びにc.APIグループI基油を単離することを含み、前記APIグループI基油が、95超の粘度指数、−7℃未満の流動点、及び9.5時間超のオキシデーターBNを有する、APIグループI基油を製造する方法。
請求項2
フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分が、90〜99重量%のパラフィン炭素及び2〜10重量%のナフテン炭素を有する、請求項1に記載の方法。
請求項3
APIグループI基油のノアック揮発性が、次式:2000×(100℃での動粘度)−2.7から算出される量未満である、請求項1に記載の方法。
請求項4
低品質基油の動粘度が、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分よりも高い、請求項1に記載の方法。
請求項5
a.70重量パーセント未満の飽和物レベル、b.70未満の粘度指数、及びc.6時間未満のオキシデーターBNを特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油の潤滑特性を改善する方法であって、石油由来の前記低品質基油と、フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分とを混合することを含み、APIグループI基油が製造される上記方法。
請求項6
APIグループI基油が、全組成に基づいて少なくとも10重量%の前記低品質基油、及び全組成に基づいて10〜50重量%の前記フィッシャー・トロプシュ法によって得られる蒸留留分を含む、請求項1又は請求項5に記載の方法。
請求項7
APIグループI基油と少なくとも1種の添加剤とを混和して完成潤滑剤を作製するステップをさらに含む、請求項1又は請求項5に記載の方法。
請求項8
低品質基油が溶剤脱ろう法によって溶剤プラントで作製される、請求項1又は請求項5に記載の方法。
請求項9
a.i.70重量パーセント未満の飽和物レベル、ii.70未満の粘度指数、及びiii.6時間未満のオキシデーターBNを特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を製造する精油所の運転条件を選択すること、並びにb.前記低品質基油を第2の基油と混合してAPIグループI規格を満たしている混合基油を作製することを含む、基油プラントを運転する方法。
請求項10
第2の基油の粘度指数が、次式:28×Ln(100℃での動粘度)+80により規定される量を超える、請求項9に記載の方法。
請求項11
精油所の運転条件が溶剤脱ろうを含む、請求項9に記載の方法。
請求項12
粘度指数が50未満である、請求項9に記載の方法。
請求項13
オキシデーターBNが4時間未満である、請求項9に記載の方法。
請求項14
飽和物レベルが60重量パーセント未満である、請求項9に記載の方法。
請求項15
第2の基油の動粘度が低品質基油よりも低い、請求項9に記載の方法。
請求項16
(a)70重量パーセント未満の飽和物レベル、70未満の粘度指数、及び6時間未満のオキシデーターBNを特徴とする、APIグループI規格を満たしていない低品質基油を選択すること、並びに(b)前記低品質基油を、グループII基油及びフィッシャー・トロプシュ法によって得られる基油と混合してAPIグループI基油を作製することから本質的になる、APIグループI基油を製造する方法。
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同族专利:
公开号 | 公开日
US8480879B2|2013-07-09|
GB2470323A|2010-11-17|
AU2009223544A1|2009-09-17|
WO2009114416A1|2009-09-17|
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
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申请号 | 申请日 | 专利标题
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